WEBメディア「tayorini」に取材記事が掲載されました
家族と本音で話せない人へ ~心理学に教わる『親との人生会議のはじめ方』〜
親の将来が不安だけど、老いの現実から目を背けているあなたへ。
やさしい人生会議のはじめ方
「人生会議」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
人生会議とは、「アドバンス・ケア・ プランニング(ACP)」の愛称で、人生の終末期に意思決定ができなくなった時のために、あらかじめ自身が望む医療やケアについて家族や医療従事者と話し合っておく取り組みのことです。
2017年に厚生労働省が実施した「人生の最終段階における医療に関する意識調査」によると、国民の64.9%が、「家族等や医療介護関係者等とあらかじめ話し合い、また繰り返し話し合うこと」に対して、「賛成である」と回答。
一方、「家族等や医療介護関係者と話し合ったことがあるか」という問いに対しては、国民の55.1%が「話し合ったことがない」と回答しました。
ここから導き出されるのは、「人生会議はやるべきだとわかってはいるけれど、家族や信頼できる人と『話し合う』ところまでは至っていない」ということ――。頭ではわかっていながら、行動に移せないでいるのです。
でも、この気持ち、とてもよくわかります。「死ぬこと」や「死後のこと」なんて普段から考えていない(考えたくもない)ですし、家族とあらたまって話し合うのも正直、気が重たいですから。
なぜ、こんなに大事なことを親に聞けなかったのか
かく言う私(ライター伯耆原)も、他界した両親と生前、大事なことを話し合わなかったために、本人の意思を聞けないまま終末期の医療や介護の決断を迫られました。預貯金がどこにいくらあるのか? 遺産相続や家業の後継者問題についても父から詳しいことが聞けなかったので、残された家族で慌てふためき、後処理にあちこち奔走するハメになりました。
今、思うと「なぜこんなに大事なことを親に聞いておかなかったのだろう」と、不思議なぐらいです。その背後には、親子や姉妹の間にある、長年積み重なった言い得ない感情や心理的な壁があったからかもしれません。
この連載では、親の将来や終末期のことが気になってはいるけれど、家族でなかなか話し合えないという方に向けて、どうしたら人生会議への一歩が踏み出せるのか? 納得いく話し合いできるようになるのか? のヒントをお伝えしていきます。
指南いただくのは、アドラー心理学をベースとしたファミリーカウンセリングを日々実践し、家族間の様々な問題を解決に導いてきた熊野英一先生。
第1回目では、人生会議に失敗した私自身(40代)のリアルな経験をもとに、「人生会議で話し合ったらいいこと」や「人生会議を行う上で大切なポイント」について熊野先生にひも解いていただきます。
https://kaigo.homes.co.jp/tayorini/acp_communication/01/